亜鉛欠乏症
■亜鉛欠乏症とは
亜鉛は銅や鉄などと同様に、タンパク質合成や免疫機能の維持に欠かせない必須微量元素です。
普段の食事から少量摂取されていますが、不足すると体に様々な不調がみられます。
味覚障害をはじめ、嗅覚、舌痛、口内炎、口角炎などの口腔咽頭症状、さらに咽喉頭異常感症など多様です。
特に高齢者では亜鉛欠乏症になっているにもかかわらず治療せずに放置している人も少なくありません。
亜鉛欠乏症は早めの治療が肝心です。
■亜鉛欠乏症の症状
・味覚障害:味蕾(みらい)という味を感じる細胞の新陳代謝が衰えて味を感じにくくなります。金属を口に含んだような味がします。
・湿疹、皮膚炎、口内炎などが知られています。また、タンパク質合成が衰えるため放置してしまうと髪の毛がなくなる場合もあります。
・骨粗鬆症、食欲不振、感染症にかかりやすくなります。
・男性の場合は勃起不全、性腺の発達障害、不妊症になる人もいます。
・高齢者では褥瘡ができやすく治りにくくなります。特に高齢者で肝疾患を持つ場合は亜鉛欠乏症から肝機能低下が進む場合もあり注意が必要です。
■亜鉛欠乏症の原因
亜鉛は体内で合成したり蓄えたりできない元素です。
不足する原因としては亜鉛を含む食品の摂取不足、
加工食品やインスタント食品が多いと自然食品からの摂取が不足します。
■検査・診断
血液検査で亜鉛が不足しているかどうかは簡単に調べられます。
特に高齢者は味が感じにくくなったり、感染症にかかりやすくなったという症状が出ていても
「年のせい」と放置しがちです。
糖尿病、慢性肝障害など亜鉛不足になりやすい疾患がある人は血液検査で調べてみることをお勧めします。
■当院の治療法
治療としては食事内容の見直しと、低亜鉛血症治療薬の内服で症状の改善が期待できます。