突発性難聴とは名前の通り、ある日突然耳が聞こえなくなる病気です。
通常耳鳴りを伴います。ほとんどの場合は片側にしか起こりません。また約半数にはめまいを伴います。

一口に突発性難聴といっても片耳が全く聞こえず、めまいがひどくて起きられないような方から、少し耳鳴りがして耳が塞がった感じで、めまいのない軽症例まで、程度はさまざまです。

特に軽症の場合、「そのうち良くなるだろう」と様子を見ている患者さんが少なくありません。しかし、治療は早く始めなければなりません。

治療が遅れると回復も困難になることが多くなります。発病から７日以内に治療を開始しないと治りにくいと言われています。経験上、精々１４日以内といったところです。
また、めまいのある症例は、ない症例より聴力の回復が悪いという事実もあります。

突発性難聴の原因にはウィルス説と血流障害説とがあります。いずれも確定的な証拠はありません。突発性難聴は原因不明の病気ですから、治療は手探りの部分もありますが、いくつかの治療法が有効であることが経験的に知られています。

高度難聴の場合は入院治療となります。
軽症から中等度の場合は外来通院しながら、薬物治療で治します。
薬物治療はステロイドホルモン剤とビタミン剤を内服し、聴力の改善状況を検査しながら、ステロイド剤は徐々に減量していく方法です。

安静を保ち、ストレスを感じない生活を心がけてください。
薬は決められた時間に、決められた量を確実に内服してください。
突発性難聴の原因はまだよくわかっていませんが、過労やストレス、風邪などがきっかけとなることが多いです。

一方、早期に治療を開始したのにも関わらず、部分的にしか回復しなかったり全然よくならなかったりすることもあります。ただ早く治療開始したら治る可能性が高くなることだけは間違いありません。

難聴にめまいが伴う病気としてメニエール病があります。突発性難聴とメニエール病は別の病気ですが症状は似ています。その点から初期に用いる使用薬剤もほぼ同じです。

メニエール病は何度も繰り返すのが特徴です。突発性難聴は通常繰り返す事はありません。特発性といって繰り返す場合もあることから厄介です。

また聴神経腫瘍(内耳神経に発生する良性腫瘍)でも、突発性難聴と類似の症状が出る場合があります。

たとえ難聴が治った後でも定期的に耳鼻咽喉科で聴力検査を受けていただくのが良いでしょう。