スギ花粉症
■はじめに
毎年春の季節になると、くしゃみ・鼻水・鼻づまりがひどくなる人は、花粉症の可能性があります。
日本人の4人に1人は花粉症であると言われており、毎年春の季節に多くの方が悩まされています。
■スギ花粉症とは
実は花粉症というのは正式な病名ではなく、アレルギー性鼻炎の1種類です。スギやヒノキ、イネ科の花粉などに対してアレルギーを起こすため花粉症と呼ばれています。
そもそもアレルギー性鼻炎とは、何かしらのアレルゲンに鼻粘膜が反応して、さまざまなアレルギー症状を引き起こす病気です。
アレルゲンとはもともとは体にとって有害なものではないのですが、アレルゲンが体の中に蓄積していきある一定の量を超えると、体が異物として判断してしまうようになり、アレルギー症状を引き起こすようになってしまいます。
■アレルギー性鼻炎の症状
花粉症の症状は、3大症状である、くしゃみ・鼻水・鼻づまりのほか、鼻のかゆみ・鼻血、眼のかゆみ・流涙、のどのかゆみ・咳などが起こります。
■花粉症の検査診断方法
花粉症の検査では、採血を行い、何のアレルゲンに対してアレルギー反応があるか調べます。
花粉症のみならず、ダニ、ハウスダストやペットなど何に対してアレルギーをもっているか調べることは、どのような治療をすべきか判断するのに非常に有用です。
通常の採血での血液検査では、花粉に限らずいろいろな種類の原因を調べることができますが、結果が出るのに4、5日かかります。
そこで、「仕事や学校で忙しく何度も受診できない」という方には、20分で結果がわかるイムノキャップラピットを用いた検査方法がお勧めです。
また、指先から少量の血液を採るだけで、ほとんど痛くないので、注射が怖くてできない小さなお子さんにもお勧めです。
■治療方法
アレルゲンを除去すること
まず花粉をなるべく吸わないことが重要です。外出する際には予防マスクやメガネを着用しましょう。当たり前のことですが意外に守られていません。
また、家に帰ったら、手洗い・うがいをし、顔を洗いましょう。
この時期、よく布団に入ると鼻が詰まると言う人がいます。干した布団や衣類には花粉が付いてしまいますので、よく花粉を落としてから取り込みましょう。
薬物療法
以下のようなお薬を使用します。
抗アレルギー剤は、今日たくさんの種類の薬剤が使用可能です。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりの重症度によっては、単剤ではなく作用機序の異なる2剤を組み合わせて使用します。
さらに漢方薬や点鼻薬も組み合わせて使用します。
ネブライザー療法
ネブライザーによって、霧状にしたお薬を、鼻の粘膜に直接噴射していきます。
定期的に行うのが望ましいです。
■スギ花粉症の根本治療!「舌下免疫療法」
上記の治療については、あくまで対症療法であり、根本的にスギ花粉症を治すことはできませんでした。
しかし、実はスギ花粉を原因とするアレルギーを根本から治すことのできる治療があるのです。
その名も、「シダトレン」または「シダキュア」です。
辛い花粉症を根本的に治すことができる治療ですので、毎年春になると花粉症が辛くてどうしようもないという方にはメリットのある治療です。
スギ花粉の舌下免疫療法「シダトレン」・「シダキュア」の詳細はこちらからご覧ください
■日常生活上の注意点
スギ花粉症は去年まで症状が出ていなくても、今年から急になることがあります。
生まれつきアレルギーの人とそうでない人がいるのではありません。誰でもなる可能性があるのです。ですから、なるべく花粉を吸わないよう注意が必要です。
スギ花粉を大量に吸い込んで鼻の症状が出てから、治療を開始しても単剤で処方された場合、効果が出にくい場合があり、薬が効かないと思いがちですが、いろいろな薬剤を組み合わせることで効果は必ずでますのであきらめないで医師の指示をよく守って治療を続けましょう。
また、毎年つらい思いをされている方は、1月中旬から2月始め頃、まだ症状がでていない、もしくは、わずかな症状でもでた時に抗アレルギー剤を使用することをお勧めします。これは、初期療法といって、少ない薬剤で、スギ花粉が多く飛ぶ3月初旬を含めてコントロールできます。